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選挙で笑えない投票用紙

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衆議院選挙戦も中盤に突入
その一票が当落を分ける天国か地獄か
候補者にとっては笑えない

縦棒1本で最高裁まで 投票用紙の笑えないトラブル

2012年5月の山口県周南市議選挙の時の1票です。正しい候補者名は「福田秀夫(ふくだ・ひでお)」。しっかり読めますし、一見何の問題もなさそうな有効票に見えます。でも、有効かどうか、裁判までもつれました。 問題になったのは、「お」の左下にある短い棒線です。

 たったこれだけ。でも、これが「候補者名以外を書いてはいけない」という規定に引っかかり、無効ではないかと、争われました。

 もともと、「余計なことを書いてはいけない」という規定は、不正防止が目的です。たとえば、投票用紙に○や記号を書き込んで「この票を書いたのは私だよ」という目印として使う人がいるのです。

 開票所には、各候補者の立会人がいて、より分けられた票を確認していますから、候補者側も「あの人が投票してくれたんだな」と確認できます。そうすると、「票を入れてやったから、金をくれ」といった取引ができるようになります。

 こうしたことを防ぐために、「名前以外を書いたら無効」という決まりができました。

周南市議選挙の1票は、選挙のプロたちでも、判断が分かれました。山口県選挙管理委員会の判断は、有効。裁判では「名前を書いた時に誤って不用意に鉛筆の先端が触れてしまっただけの線で、符号や暗号のたぐいではない」と主張しました。さすがにこれは有効票だろう、と。

 しかし、広島高裁は「この線は力を込めて鮮明に書いているので、無意識に書いたものとは認められない。名前を書き損じた跡でもない」。つまり、意図的に書いた暗号かもしれないから、無効という判決でした。

 山口県選管は上告しましたが、最高裁はこれを棄却。広島高裁の判決が確定しました。この1センチ足らずの棒線で、そこまでの事態になってしまうんですね。

伝説の無効票

 最後に、伝説(?)の無効票をご紹介します。1995年4月、香川県善通寺市の市議選挙で、「堺敏昭(さかい・としあき)」という候補者が、1票差で落選しました。そして、無効票の中に「ひっこしのさかい」と書かれた票が1枚見つかりました。

 なんと堺さんは、たまたま選挙前に引っ越しをしていたそうです。当然、堺さんは「『ひっこしのさかい』は自分に投じられた票だ」と主張しました。でも、みんなが思い浮かべるのは、あの引っ越し業者です。

 香川県選挙管理委員会の判断は、「無効」。堺さんの主張は通りませんでした。とにかく、投票用紙には、余計なことは書かない方がよさそうです。

※貴重な一票です、無駄な票にならないよう
くれぐれも余分な事は書かないよう注意しましょう