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毎日新聞による第70回読書世論調査

各世代、読まれた本 読み継がれる「定番」作品

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「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」--こんな書き出しで始まる
夏目漱石の「坊っちゃん」が、読書世論調査で最も読まれた本に選ばれた。
普段、書籍を「読まない」人でも、「坊っちゃん」を「読んだことがある」人は4割強。
小中学校向けの教科書で掲載され、各世代に加えて、本を読まない人からも親しまれている。 

 「坊っちゃん」は1906(明治39)年に発表された。「読んだことのある人」を年齢別にみると、10代後半52%▽20代41%▽30代50%▽40代65%▽50代74%▽60代69%▽70歳以上58%--と、どの世代でも高いのが特徴だ。併せて、どの職業区分でも過半数が読んでいるのが目立つ。

 86年に行った第40回読書世論調査でも、「坊っちゃん」は読んだ本のトップ。
30年後の今回調査でも根強い人気を示した。文庫本や漱石全集で「坊っちゃん」を発刊している岩波書店編集部の赤峯裕子さんは「夏目漱石の著作の中では短めで、筋もメリハリがあり、わかりやすい。主人公の性格も痛快で、学校が舞台なので子どもから読める」と解説する。 

 他の作品では、発表時期や男女差で読者層が大きく異なる作品もあった。
47年に出版された「青い山脈」(石坂洋次郎)を読んだ人は、70歳以上では
3割強。しかし、年代が下がると読者は減り、40代以下は1桁にとどまった。
73年の「日本沈没」(小松左京)を読んだ人は、50代男性では49%と突出して高いものの、世代間でばらつきがみられる。 

 一方、2015年の芥川賞受賞作品「火花」(又吉直樹)は、250万部を超えるベストセラーとなった。著者は人気お笑い芸人で、テレビなどへの露出も多い。しかし、「読んだことはないが、書名だけは知っている」人が79%と、知名度は高い一方で、実際に「読んだ」人は10%。普段、書籍を「読まない」人で、「火花」を読んだことのある人は4%にとどまり、「読書好き」の支持が中心といえそうだ