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大腸がんで命を落とす女性を減らすために、、、

大腸がんで命を落とす女性を減らすために
 野澤真木子 / 日本橋レディースクリニック院長

 大腸がんは、女性のがんの中で死亡者数が最も多い病気です。女性の場合、血便などの症状があっても、羞恥心から肛門科の外来受診をためらうことが、早期発見が遅れる要因の一つになっているのではないでしょうか。

がんが発見された患者さんの年齢は26~82歳で、平均年齢は54歳です。がんが見つかった人の自覚症状のうち最も多かったのが肛門からの出血で、79.6%(90人)の人が訴えていました。次に多かったのが便通異常(28人、24.8%)でした。また、手術適応のあるいぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)などを合併していた人が20人(17.7%)いました。つまり、痔だと思っていてもがんであることがありますし、痔とがんを併発している場合もあるわけです。

注目すべきは、50歳未満でがんが発見された人が40人いたことです。がん発見率は0.2%で、50歳以上(発見率1.87%)に比べれば低かったものの、放っておいたら他の臓器に転移する性格をもつ浸潤がんが多い傾向がみられたことです。大腸がんが進行すると出やすい症状は、血便▽肛門からの出血▽便の量が少なくて排便回数が多い▽便が細くなる▽下痢と便秘を繰り返す▽残便感▽体重減少▽貧血▽腹部のしこり--などです。若い人は、特に、肛門からの出血は痔だと自己判断していたり、市販の便秘薬を使用しているために排便の異常に気づかなかったりする傾向がみられます。頻度は少ないとはいえ、20~30代でがんが発見される人もいるので、そういった自覚症状があるようなら、年齢を問わず肛門科か消化器科を必ず受診し、大腸の精密検査を受けましょう。

おしりの不具合があったら恥ずかしがらずに受診を

「おしりから血!痔よりも怖い大腸がんのサイン?」
症状のないうちに早期発見するには、大腸がん検診で便潜血検査を毎年受けるのが一番です。40歳以上の人は、年に1回便潜血検査を受診し、陽性になったら必ず精密検査を受けてください。

 全国には肛門科の女性専用外来や女性医師が在籍している肛門科もありますので、恥ずかしがらずに、おしりのトラブルがあったら、気軽に肛門科を受診してほしいと思います。肛門科医、そして女性の一人として、大腸がんで命を落とす人や、痔などおしりの症状で人知れず悩む女性が少しでも減ることを切に願っています。


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野澤真木子
日本橋レディースクリニック院長

 のざわ・まきこ 杏林大学医学部卒業。杏林大学医学部付属病院第一外科に入局し、消化器外科を専門とする。その後、松島病院大腸肛門病センター、松島ランドマーククリニック院長を経て、2008年4月、女性専門の肛門科胃腸内科として「日本橋レディースクリニック」(東京都中央区)を開設。2013年7月には、おなかやおしりの健康に必要な「食」の提案を行う拠点として、クリニックと同じビルに「フローラカフェ by NLC」を併設、普段の食生活を見直しながら腸内環境を整え、病気を予防する試みを紹介している。日本大腸肛門病学会専門医、日本大腸肛門病学会指導医、日本外科学会専