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※世界報道自由ランキング


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日本の報道の自由度ランキングは世界72位。

国際NGO国境なき記者団」(本部・パリ)は4月20日、同団体がまとめた世界

各国の報道の自由度ランキング2016年版をインターネット上などで発表した。

日本のランキングは前年の61位からさらに後退し、180カ国中72位となった。

2014年時点では59位で、年々順位を下げている。

★日本の評価は?

 日本のランキングは2002年から2008年までの間、20位代から50位代まで時代

により推移してきたが、民主党政権が誕生した2009年から17位、11位とランキング

を上げた。2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ

と変わらない中堅層やや上位を保っていたが、民主党政権誕生以降、政権交代

実現という社会的状況の変化や、政府による記者会見の一部オープン化もあり、

2010年には最高の11位を獲得している。

 しかしながら、2011年の東日本大震災福島第一原発事故の発生の後、2012

年のランキングでは22位に下落、2013年には53位、2014年には59位を記録した

。そして今年2015年にはついに過去最低の61位までランキングを下げる結果と

なった。自由度を5段階に分けた3段階目の「顕著な問題」レベルに転落した状

況である。

なぜ日本の順位は後退したのか?

 世界報道自由度ランキングのレポートでは、日本の順位が下がった理由を解

説している。ひとつは東日本大震災によって発生した福島第一原発事故に対す

る報道の問題である。例えば、福島第一原発事故に関する電力会社や「原子力

ムラ」によって形成されたメディア体制の閉鎖性と、記者クラブによるフリーランス

記者や外国メディアの排除の構造などが指摘されている。

 戦争やテロリズムの問題と同様に、大震災や原発事故などの危機が発生した

ときにも、その情報源が政府に集中することにより、「発表ジャーナリズム」

という問題が発生する。政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにし

て報道する姿勢である。また、同様に戦場や被災地など危険な地域に自社の記者

を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する「コンプライアンスジャーナリム」

の問題も重要である。メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域に

自社の社員を派遣できないという状況から、危険な地域に入るのはフリー・ジャーナ

リストばかりになるという構造的問題である

 このような日本のメディアの状況下で一昨年に成立した特定秘密保護法

立が日本の順位下落に拍車をかけた形である。特定秘密保護法の成立により、

戦争やテロリズムに関する特定秘密の存在が自由な報道の妨げになるという評価

である。日本が置かれる国際状況や、日本国内の政治状況が大きく変化している

現在こそ、日本のメディア、ジャーナリズムに自浄作用と改革が求められている。

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福田 充(ふくだ・みつる)