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ネット口座:パスワード狙うSMS…偽サイトに誘導 毎日新聞 2015年06月24日 15時00分(最終更新 06月24日 17時30分)

毎日新聞 2015年06月24日 15時00分(最終更新 06月24日 17時30分)
インターネットバンキングのパスワードをだまし取ることを狙ったメッセージが、ショートメッセージサービス(SMS)で不特定多数のスマートフォンに送信されていることが分かった。メッセージは「パスワードの更新」を求める文面で、銀行を装った偽サイトに誘導している。電話番号だけでメッセージを送れるSMSの機能が悪用されており、銀行は注意を呼びかけている。【内橋寿明】
 ◇相談が相次ぐ

 これまでに、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行を装ったメッセージや偽サイトが確認されている。両行によると、今月に入り、メッセージを受け取った人からの相談が相次いでいるという。

 メッセージは「パスワードが失効した」と告知し、「更新」を要求する内容。更新用として「メンテナンスサイト」と称するアドレスを張り付けている。このサイトはネットバンキングの正規のものを偽装。パスワードやIDの入力欄があり、入力されたパスワードなどを盗み取る仕組みになっているとみられる。盗まれたパスワードなどは、口座への不正アクセスに悪用され、預金が引き出される恐れがある。

 企業からの通知を装う文面を送信して偽サイトに誘導し、パスワードやIDをだまし取る手口は「フィッシング」と呼ばれる。フィッシングは10年ほど前から急増したが、これまで偽サイトに誘導する文面は電子メールで送信されていた。SMSは電話番号でメッセージを送信できることから、スマホの利用者を標的として大量のメッセージを無差別に送信しているとみられる。

 三菱東京UFJと三井住友は、問題のメッセージをホームページで公開し、偽サイトを開いたり、パスワードを入力したりしないよう呼びかけている。
 
三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行を装い、偽サイトへ誘導するSMSのメッセージ=フィッシング対策協議会提供
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 情報セキュリティー大手「トレンドマイクロ」の鰆目(さわらめ)順介シニアスペシャリストは「SMSを使ったフィッシングは以前から海外で広がっていた。スマホの普及に伴い、今後は国内で横行する可能性がある」と指摘している。
 ◇不正アクセス被害29億円

 インターネットバンキングに不正にアクセスされ、口座から預金が盗み取られる被害は後を絶たない。

 警察庁によると、昨年発生した被害は1876件、被害総額は約29億1000万円。件数、金額とも過去最悪だった。

 ネットバンキングへの不正アクセスを図る者がパスワードやIDを盗む手口には、フィッシングのほか、パソコンなどにウイルスを送りつけ、情報を流出させる方法もある。

 預金者が被害を防ぐには、口座から現金を出し入れするたびにパスワードが変更される「ワンタイムパスワード」が有効とされる。三菱東京UFJや三井住友などは、不正アクセスへの対策として、顧客にワンタイムパスワードを無料で提供している。